体温。

昨日はなかなか寝つけなかったからこの犬のように丸まって眠った。
丸まると少し落ち着く。
ぬくもりを集める。
股の間に、「泣きたいときに抱き締めて」とあたしをいたく心配してくれる奥様にいただいたケアベアさんを挟みこむ。泣いてはないよ。


私なんかの不安はたいしたことじゃなくて、地球レベルで考えたら、もう点にすら見えないというか見ようともされない問題で、そもそもだいたいが不安だ。
太宰治だって、まぁ彼は私と同じくらい、いやそれ以上にそういう性質なのだろうが、
『人間の365日、何の心配も無い日が一日、いや半日あったら、それは仕合せな人間です。』
と言っている。
だったら、まぁ私は仕合せな人間かもしれない。自信はないけど。
自分にそれほど期待もしてないし、見くびってもいない。





掃除機の音に目をむき出し、毛を逆立て怯える怖がりのウチの子。
何度聞いても慣れないらしい。

「ごめんねごめんね、怖かったね」と抱きしめてやるとぶぅぶぅからぷぅぷぅに鳴き声が変わる。
ぬくもりが伝わると安心してくれる。
極力、不安にはさせたくないけれど、この瞬間が好き。
自己満足かもしれないけれど。
ねぇ、ぽにょ、あなたが好きよ。



体温ってひとりじゃちょっと足りないように設定されてるのかもしれない。
あたし、人よりちょっと低いからさ。欲しがりなのかもしれない。



恋人との間や、小さいこどもとその親との間では日常的だし、そうあってほしいけれど。
誰かの手を握るって抱きしめるって日本人にはなかなか気恥かしいことなのかもしれないけれど、大事。
その温度は伝わる。その温度に救われる。